2020年度入試改革ではより思考力が重要となる?変化するセンター試験
現在行われているセンター試験が廃止され、2020年度からは「大学入学共通テスト」が実施されるようになります。
これに関しては「名前が変わっただけ」と考えている人がいますが、実は試験内容も大きな改革を迎えます。
一番大きな変化は「思考力」を重視していることだと言えるでしょう。
ここでは思考力とは何なのか、何を学習すれば良いのかについて述べていきたいと思います。
▼目次
入試で問われる思考力とは
今までのテストは設問に対する知識があれば答えを書ける(選べる)というものでした。
しかしこの改革においては「思考力・判断力・表現力」を重視して評価するというものに変わります。
これは知っているかどうか、だけで答えを書くのではなく、その問題に関する知識があり、その問題の文章や図、表などを正しく読み取り、それらの情報のどれが必要かを考え、読みやすく正しい文章で表現するという力が求められるのです。
そのために、自分の意見を言うのが苦手、うまく人に説明できない、という学生にはかなり厳しい出題と言えるでしょう。
そして思考力を問う問題については共通するポイントが3つあります。
・「答えが一つとは限らず複数あることもある」
・「色々な教科にまたがった合教科型の問題である」
・「学年を問わず、取り組める問題である」
ということです。
まず思考に関しての問題ですので、解答する人によって意見が分かれて当然です。
一つのものを見ても全員が同じ感想を抱くことはありません。
出発点と目的地が同じでも全員が同じ道筋で辿りつくとは限らないのです。
それゆえに、その答えが正しいかどうかが評価のすべてではないのです。
むしろその答えが正しいかどうかは採点者もわからないかもしれません。
重要なことは、「その課題に対する知識があるかどうか」「問題文や図、表、資料などから正しく情報を読みとれるかどうか」「それを理論的に組み立てられるかどうか」なのです。
また、一つの教科に限定されない考え方というものも重要になります。
例えば「ヤドカリは何を考えているのでしょうか?」という問題があったとします。
ヤドカリなので理科の生物が関係しているかと思うかもしれません。
しかし人間以外の生き物がどう考えているかは想像の範疇に入るので文学的に考えるとすれば国語の可能性もあります。
そもそも何を思考しているかなどわからないのかもしれません。
つまり、はっきりとした答えはないのです。
「こう考えているはずだ」ということについて、なぜそう言えるのかということが説明できれば良いのです。
こういったことは、この教科と決めて考えるようなことではないのです。
そして三つ目が学年を問わない、という考え方です。
先ほどの「ヤドカリは何を考えているのでしょうか?」という質問は小学生でも答えることができる問題です。
もちろん大学入試に出題しても論理的な解答を引き出せるでしょう。
これは思考力を問う問題というのは、あくまでも「解答者の答え」を聞くものであって、答え方やその論理の質や量には差はあるものの答えること自体は可能だからです。
これは今までの形式の入試では考えられないことです。
思考力を鍛えるためには
入試改革が行われることによって思考力・判断力・表現力を鍛えることが必要になってきています。
今までのように知識だけを詰め込んではいるが、他人に説明することはできないというような学習の仕方では通用しないからです。
そこで注目を浴びているのがアクティブ・ラーニングです。
生徒に考えさせて行動させることで、思考力を養うのです。
一般的なのは班ごとにグループを作って何かのテーマについて話し合わせて発表させるというものです。
その他には自分が決めたテーマについてプレゼンを行うというものがあります。
例えば、自分がみんなに勧めたいアニメについてみんなの前でプレゼンを行います。
そのアニメのことなど聞いたことがない、興味がないという学生をプレゼンによって興味を持たせることができれば成功と言えるものです。
また、歌や映画などを途中まで聴かせたり見せたりして、そこで止めます。
そうしてその先の歌詞や展開を考えさせるというものもあります。
止められるまでの歌詞や映画のストーリーからヒントを探し、「思考」して続きを考えるのです。
これも実際の歌詞やストーリー以外の素晴らしい答えを生徒が考える場合があります。
正解が一つではない典型ともいえるでしょう。
この際、実際の歌詞以外でも良い答えを書いている場合は「正解」と判断されます。
まとめ
このように入試改革はどんどんと進んでおり、思考力や表現力を鍛えておかなければ入試に対応できなくなってきています。
しかし、こういった力は短期間に完成できるものではありません。
まだ入試は先でも今から徐々に鍛えていくという準備が重要になると言えるでしょう。