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2018年全国学力テストからみえる中学生の結果と分析

全国学力テストとは正確には小学6年生と中学3年生を対象にした「全国学力・学習状況調査」のことをさします。

2007年度から全員参加式の形式ではじめられ、一時期「3割抽出方式」に変更されましたが、現在は再び全員参加式に戻されています。

国語と数学については基本問題のA問題と、応用問題のB問題から成り立っており、それに理科を加えた3科目で行われています。

ここでは2018年の全国学力テストが示す中学生の「結果」「分析」「課題」について紹介していきます。

科目ごとの結果とその分析

国語の結果と分析

日本の教育政策の中心的機関である国立教育政策研究所が発表した結果によると、中学校国語の平均正答率は昨年度がA問題が77.8%、B問題が72.7%であるのに対して、今年度はA問題が76.4%、B問題が61.7%と低下していることがわかります。

項目ごとに見ていくと、
「話の論理的な構成や展開などに注意して聞いたり、必要に応じて質問したりする」
「場面の展開や登場人物の描写に注意して読み、内容を理解する」
という項目は比較的良いのですが、
「話合いの話題や方向を捉えて的確に話したり、
全体と部分との関係に注意して相手の反応を踏まえながら話したりする」
「情報を整理して内容を的確に捉える」
「目的に応じて文の成分の順序や照応、構成を考えて適切な文を書く」
という項目には課題があるとされています。

特に2020年度から変更される大学入試共通テストでは、「情報を整理して内容を的確に捉える」という問題が出題されることがわかっているためにその対応が必要とされています。

数学の結果と分析

中学校数学の平均正答率は、
昨年度がA問題が65.2%、B問題が48.7%であるのに対して、
今年度はA問題が66.6%、B問題が47.6%となっています。

全体的に見ていくと、
「球が回転体としてどのように構成されているかの理解、見取図、投影図から空間図形を読み取ることはできている」
「比例y=axにおける比例定数の意味を理解している」
というような図形、関数の問題はまずまず解けているものの、
「目的に応じて式を変形する」「証明の必要性と意味の理解」
「一次関数の意味の理解」
「不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え、判断の理由を数学的な表現を用いて説明する」
「事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明する」
「数学的な結果を事象に即して解釈することを通して、成り立つ事柄を判断し、
その理由を数学的な表現を用いて説明する」
というように「理論」や「応用」の部分に課題があることがわかっています。

正しく問題の要旨を理解して、それを応用に利用するという力が求められています。

理科の結果と分析

中学校理科においては、昨年度の53.5%に対して、今年度は66.5%と大きく向上しています。

項目ごとに見ていくと、「軟体動物を指摘すること、物質を原子の記号で表すこと、植物の蒸散を指摘する」
ことはできており、「習得した知識・技能を活用して、観察・実験の結果を分析して解釈する」ことが改善しています。
しかし、「実験や条件制御などにおいて、自分や他者の考えを検討して改善する」
「自然の事物・現象に含まれる要因を抽出して整理し、条件を制御して実験を計画する」
という項目に改善の余地があるとされています。
理科はそのときに出題される単元や出題範囲によって点数の変動があるために安定した向上が求められています。

地域ごとの取り組みと問題点

加熱する地域ごとの取り組み

本来地域ごとの点数を競ったりするという目的で行われているものではありませんが、都道府県ごとの成績が発表されたということもあって、その取り組みが問題視されていることもあります。

例えば、秋田県や石川県、福井県などは小・中学校ともに高い点数が出ていますが、大阪府などはかなり低迷が続いています。

それらの結果を受けて、「このテストで点数を取るための勉強」に傾いてしまう自治体が出てきていることが問題視されています。

大阪市の発表の波紋

2018年の全国学力テストの結果も低迷したことを受けて、大阪市の吉村市長は「学力テストの結果をそれぞれの学校の先生の評価(給与)に反映する」と発表しました。

これが実施されると学校の先生は自分たちの給与を守るために生徒に点数を無理やりにでも取らせる必要性が出てきます。

また、地域差や学年による差などの不公平さが解消できないなどの理由で撤回を求める声もでています。

中学生に点数を取らせるために過去に起こった事例

中学生に全国学力テストで点数を取らせるために過去に実際に行われた事例を紹介していきます。

「学力テストのための補習特訓」
「本来のカリキュラムを無視してのテスト対策授業」
「音楽や体育などの教科を削ってテスト対策を行う」
「学力テストのための宿題を大量に出す」
「テスト中のカンニング行為などを教師が容認する」
「障害のある生徒のテストは集計から外す」
「成績下位の生徒にはテストは受けさせない」

といったものです。

テストの点数が教師の評価につながるとこういった不正はさらに加速していくと考えられています。

まとめ

中学生に全国学力テストで点数を取れる力をつけることと、不正を行ってでも点数を取らせるということの差が曖昧になっていると言われています。

点数のための勉強ではなく、本当の力をつける勉強を求める声が上がっていることを忘れずに行動しましょう。